紅葉~2007
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先日の大阪公演の後、終電に乗り遅れてしまい、ギター製作家の松村雅亘さんのご自宅に泊めさせてもらったのでした。
翌日は工房へ案内して頂き、新作のギターを見せてもらったり、松村さんの師であるフランスの製作家ローベル・ブーシェの数々のエピソードを聞かせてもらったり、とても貴重な時間を過ごしました。
工房。
松村さんはとてもエネルギッシュな人柄で、ご自身の求める音を妥協することなく追求し続ける芸術家。
ブーシェは画家としての一面もあり、このような印象派風の絵を180点ほど残したそうです。間近で見ると、繊細な筆のタッチが良く分かります。
左が松村さん作のギター。
ブーシェという人は、その残した言葉やエピソードから、人間としても芸術家としても極めて高みに達した人物であったことが分かります。
松村さんはそれをしっかりと受け継いでおられ、その遺志を広める活動を長く行っておられます。
僕自身もお話から受けた感動を胸に、自分の音楽を追求して行こうと思いました。
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11月11日から始まるリサイタルツアーが近づいてきました。
今回のプログラムは小品が中心ですが、今僕が弾いてみたいと思った曲ばかりを集めてみました。
前半に演奏予定のピアソラは、大好きな作曲家の一人です。「ブエノスアイレスのマリア」のスコアが、僕にとってのバイブルになっていた時期もあり、ある意味恐れ多い作曲家です。
普通、作曲家というのは一生をかけてやっと1つのものを手に入れることができるかどうか、とすればピアソラはそれを2つも3つも手に入れてしまった、、、と言えば少し大袈裟かも知れませんが、どこかそう感じさせられます。
僕の編曲による「オブリヴィオン」、アサド編曲による「ブエノスアイレスの冬」などを演奏します。
プログラム後半はスペインものです。
F・タレガとその弟子のM・リョベートはギター史上、大変貴重なレパートリーを残してくれた作曲家です。彼らの作品からは、ギターの本当の心を聴くことができるような気がします。
特に「アランブラの想い出」では、実際にグラナダのアランブラ宮殿を訪れたときの感動とその情景を思い出しながら演奏したいと思います。
また、ファリャのバレエ音楽「恋は魔術師」から2作品をリョベートの編曲で演奏します。
ファリャとリョベートはお互いに音楽的刺激を与え合う関係だったと思われ、ギター史において転機となる「ドビュッシー讃歌」が生まれました。また、ギターソロや二重奏のためのリョベートによる編曲のいくつかの作品は今後、日の目を見ることだと思います。
余談ですが、ファリャはあるときリョベートにギター協奏曲の作曲のアイデアを持ちかけたことがあったそうです。音量のバランスを理由にリョベートが反対したようですが、もしこれが実現していたら、と思うともったいない気がしないでもありません。
それから僕自身のオリジナル曲も演奏させて頂きます。
「京都の風景」は僕が21歳の頃の作曲ですが、日本人としてのバックグラウンドを大切にしたいという思いで、タイトルの通り僕の生まれ育った街が表現されています。
「FARAWAY」という曲も同じ頃の作曲ですが、こちらは激しくアップテンポです。ギターから遠ざかっていた自分が、もう一度ギターに戻った頃のエネルギーが込められています。
もう一曲オリジナルの初演作品を演奏予定ですが、これは当日のお楽しみということで。
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