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2006/10/22

ステファノ・グロンドーナ

イタリアのギタリスト、ステファノ・グロンドーナのCD「Lo Cant dels Acuells」を聴きました。

Grondona3

2枚組みで、収録曲はタレガ、リョベートなどロマン派中心。

グロンドーナの演奏の特徴は、イタリア・オペラそのままの歌心に溢れた自然で純粋な表現。音楽への深い信仰心に満ちた精神性に心打たれます。

そしてこのCD、何がすごいかというと、彼のコレクションである数本のアントニオ・デ・トーレスや、サントス・エルナンデス、ドミンゴ・エステソ、その他の歴史的な名器ばかりを使用していること。

それぞれのレパートリーの背景に即して楽器が選ばれていて、その音の違いを聴き比べることが面白い。

最近、ギターマニアチックな心境になりつつある僕にとっては、大変興味をそそられます。

ちなみに、1年ほど前、バルセロナで行われたグロンドーナの公開レッスンに参加したのですが、自分のレッスン、他の受講生の聴講を通して彼から学んだことは多大なものでした。

それは、音を飛ばす方向と距離、妥協を許さない徹底した歌心、今弾いているメロディや和音をしっかり聴いて自分自身がそれをよく感じること。この3つの点に尽きます。

よく考えてみれば当たり前のことのように聞こえるかも知れませんが、当たり前のことを当たり前のように行うのはとても難しいことだと思います。

このときアントニオ・デ・トーレスを持っていた彼が演奏したM・ポンセのソナタ第3番は忘れることができません。

「Lo Cant dels Acuells」は、そんな体験を思い出させてくれるような素晴らしいアルバムです。

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