長年に渡ってバルセロナを拠点にギター演奏、作曲活動を展開してきた、アルゼンチンのM・A・チェルビート氏にレッスンを受けました。
11月にバルセロナ国際ギターコンクールというものが開催されるのですが、彼の新作である「Oh Guitarra」という作品が、このコンクールの1次予選の課題曲なのです。
実は5日ほど前彼から電話があったのです。
チェルビート氏(以下C) 「どうかね、、、Oh Guitarraの練習は頑張っているかね。。。」
僕 「あ、はい、頑張ってます!」
C 「どうかね、、、あの作品は好きかね?」
僕 「あ、はい、好きです!」
C 「あの作品はとても難しい。。。多くの指示や特殊奏法がふんだんに含まれている。。。
どうかね、、、君にアドバイスを与えることができるんだが。。。」
僕 「あ、それは、レッスンとしてですか・・・?」
C 「Exacto!!(その通り)」(←キッパリと)
立場的に断ることができなかったのでお願いしたのでした。
レッスンで感じた彼の音楽性というのは、とにかくアグレッシブの一言。ギターをそれ以上強く弾いてももうそれ以上音は出ないよ、というレベルでの右手(じゃなくて、彼はサウスポーなので左手)の弾弦の強さ。
僕の演奏へのアドバイスも「もっと強く!もっと強く!」、これが約2時間繰り返されたのでした。
初め、このレッスンがいいものだとは思えず、何か無頓着な演奏法を強要されているようにしか感じられなかったのでした。。。
しかし、時間が経つにつれ、何かが変わっている自分に気付く僕。
何かスペインに来て3年の間に、いつしか忘れていた感覚というか何と言うか。
僕はもともと情熱的な音楽をしたいといつも思っていたのでした。それが、スペインに来てからというもの、音色の変化であったり、丁寧なフレージングであったりといった音楽表現を追求するあまり、いつしかアグレッシブさというものを忘れていたような気がします。
だからといって、丁寧な音楽表現が悪いわけではない。もともと僕の持っている音楽性の中に、PPやPPPがあるとすれば、Fの方の上限をFFやFFF、もしくは我を忘れたFFFFに引き上げることができれば、もっと幅の広いスケールの大きな音楽ができるではないか。。。
そんなことに今更ながら気付かされたわけです。
M・A・チェルビート氏には、大変いいレッスンをして頂いたと今では心から感謝しているのです。